【事務局日記】秋空と黒姫山
事務局日記今日は気持ちよい秋空が広がっています。
「黒姫」様もご機嫌のようで、
黒姫山がいつもより近く、大きく見えるような気がします。
黒姫山には「黒姫」というお姫様がいるといわれています。
「黒姫伝説」、「黒姫物語」などとしていくつか民話が残されています。
そのひとつをご紹介します。
「黒姫物語」
今の長野県中野市に、室町時代後期、高梨氏という一族が勢力を張っていた。高梨氏の武将高梨政盛に黒姫という美しい娘がいた。
ある日、殿様は黒姫をともなってお花見に出かけた。その花見の宴のなか、黒姫の前に、一匹の白い蛇が現われた。宴の楽しさにつられて出てきたのだろう、と殿様は上機嫌で、「姫、あの蛇にも、酒盃をあげてやりなさい」と娘に勧めた。姫は蛇を怖がらずに、酒盃を白蛇の前に差し出した。蛇は嬉しそうにそれを飲み干すと、去っていった。
その後、この殿様のところに、一人の立派な姿の若者が訪れた。
「私は、あのお花見の宴の時、黒姫からお酒をいただいた者です」
殿様は彼の話に驚いた。若者は、自分は、志賀山の大沼池に棲む龍だというのである。白蛇に化けて散策していたところへ、花見に来ていた殿様一行と出くわし、酒を飲ませてくれた黒姫の姿が忘れられないと言うのだ。
「姫をさらうのはたやすいことですが、それでは道理に反するので、こうして伺いに参りました。黒姫をぜひ妻に貰いたいのです」
殿様は断わった。人でない者に、大事な娘を渡せなかった。
しかし、この龍はその後も、毎日毎日、殿様もとを訪れた。屋敷を厳重に警備しても、無駄だった。龍は必ず殿様の前に現われた。
そして、龍の熱心な姿に、いつしか黒姫は龍に心ひかれるようになる。
殿様は部下と相談し、龍に策をかけた。罠にまんまと陥った彼は、殿様たちから、殺されそうになる。
「礼をつくした返答がこれか!」
龍は激怒し、本性を現わすと、たちまち天にかけのぼった。とたんに、大嵐がおこった。あちこちで洪水がおこり、あたり一面地獄のような光景と化した。
黒姫はこれを見て、矢も盾もたまらない。
「龍よ、私はあなたのところへ行きましょう。だから嵐をしずめておくれ」
たちまち龍が下りてきて、黒姫を乗せると再び天にかけのぼった。龍は妙高と戸隠の間の山に降りたち、山頂の池で黒姫と暮らすようになった。
以後、姫嶽山と呼ばれていたその山を「黒姫山」と呼ぶようになったといいます。
(信濃町観光協会HPより引用)
(事務局 河西)