『いきものしらべ』 その9 麻布大学・野生動物学研究室より
調査研究フクロウの営巣が遅くなりましたが、6月の中旬には無事巣立ったようです。
そこで7月4日に訪問した際、アファンの森財団の大澤さんにご協力いただいて巣に残されたフクロウの食べ物を分析するために巣材を回収しました。
みたところ、あまり骨が見えないようでしたが、これから分析をしてみます。
大澤さん、ありがとうございました。
昨年から森の掃除屋さんである糞虫と死体分解者のシデムシ類を調べています。
糞虫のことは「いきものしらべ8」で紹介しました。
今回はペットボトルを加工して、そこに大学の実験で出たマウスの死体をつり下げる「マウス・トラップ」を置いてみました。
5月のときに死体をおいていたらすぐに分解されてしまい、シデムシが活発に動いていることはわかっていたのですが、それにしてもたくさんいました。
中でもクロシデムシは大きくて、みるからにすごそうでした。一番多かったのはヨツボシモンシデムシで、動きがとても敏捷です。今回はじめてみたのはクロボシヒラタシデムシで、胸の赤が印象的でした。よくいるクロヒラタシデムシよりだいぶ小さいです。
ともかく、こんなにもたくさんのシデムシがいるということは、日常的にそれだけの死体があるということです。改めて森のいきものたちの生活をかいま見た思いです。
おまけ:
今回おもしろい発見がありました。学生は調査のためにゲストハウスを利用させていただいています。そこの入り口のレンガの上に蛾がいました。
同じのが何匹かいて、翅をひらいていたのもいたので蛾だと分かったのですが、ひらかないで「巻いて」いるのはそれが蛾であるとわかりません。
枝の「切り口」は頭の部分ですが、枝の中の材の色と質がそっくりだし、翅の部分は枝の表面の質感もそっくりです。
カンバやサクラの枝にある横すじまでそっくりです。枝を拾って折って横にならべたら、どっちが本物だかわからないほど。
右の方の足があるほうが蛾です。
(高槻記)
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麻布大学 野生動物学研究室の皆さん
高槻成紀先生が担当されている研究室で、いくつかのご縁が重なり2009年の6月からアファンの森での生き物の調査にご協力いただいています。
2010年3月には麻布大学とアファンの森財団が「学術交流協定」を締結し、一層の協力を進めることになりました。「森林管理が生き物のつながり(リンク)に与える影響を科学的に実証する」を全体のテーマとして、毎年学生が調査研究フィールドとして活動しています。
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