被災地の自然再生に向けた輸送実験
震災復興被災地では日々復興街づくりに向けた工事が進み、急速に街の様子が変化しています。その中で生息環境を失いつつある植物を守るために、これまでアファンの森財団ではこどもたちとともに、地域の自然環境について理解を深めてもらいながら移植作業を行ってきました。
しかし養生した水生植物の移動の際、車の振動によって土が液状化し苗が倒れて傷つけてしまったり、微小な種があふれた泥に混じって逸失したり、と移植作業には様々なリスクがあり現場では細心の注意と労力を必要とする作業となっていました。
そこで財団のオフィシャルスポンサーである日本通運様が被災地の自然再生活動に自社の輸送技術をご提供下さることとなり、それに向けた輸送実験をおこないました。
日本通運様、またグループ会社である日通商事様で輸送手段や容器をご検討いただいた結果、実験には日本通運様が独自開発された、振動や衝撃から荷物を守る「防振パレット」という特殊パレットと今回のために開発いただいた特別仕様のケースを使わせていただくこととなりました。並行して苗づくりなど約2ヶ月に渡り準備を進め、3月上旬に実験を行う運びとなりました。
当日はご自身も被災されている日本通運㈱仙台航空支店の皆様にもご協力頂き、改めて復興の途上にある被災地の実情について認識を共有し、いよいよ実験がスタート。
実験は凍える寒さの中2月から準備した水生植物の苗と、以前から森の学校予定地周辺で養生されていたミズオオバコを、それぞれの養生場所からツリーハウス前まで移動する2ルートで行いました。
子ども達が作った苗を想定し、養生のための剪定をせずそのままの形状で移送。
ミズオオバコの微小な種が入っている泥が移送中の揺れや衝撃によってこぼれないよう、特殊なふた付きのケースに格納します。また子どもたちでも作業に参加できるようにと、誰でも簡単に扱える容器を開発下さいました。
輸送ルートは、一部未舗装で一部凹凸や急な坂もある工事中の道を通らなくてはなりません。(道路工事会社様からも実験に向けて多大なるご配慮をいただきました。)途中ハラハラする場面もありましたが、車輌、パレット、容器、そして運転技術、全てがひとつとなって被災地の自然、そして子ども達の未来を守ります。
そして実験結果は…見事成功!!!!
様々な条件をクリアし、ツリーハウス前には出発前と全く変わらない状態で苗や種が無事到着することができ、ご参加いただいた皆様とツリーハウスの湿地に植物を移植しました。
苗の作り方など改善の余地もあり、より安全で効率の良い手法で子どもたちや地域の皆さんとともに被災地の自然再生を推進できればと考えております。最後になりましたが、今回日本通運様、日通商事様を始め、児童養護施設支援の会様、UR都市機構東松島復興支援事務所様、㈱橋本道路様など地元関係者の皆様にも多大なるご協力をいただきました。改めて心より御礼申し上げます。