『ウェールズ、いろとりどり』 その12 ~見守る~
国際交流日本の皆様へ
私が山の中で重要な情報源としているラジオのニュース。
そのニュースのトップが、日本の地震や原発の状況レポートからリビア情勢に変わりました。
1週間という速さで話題の優先度が変わる世界の動きに、どうも私の頭はついていっていません。
そんな不安が私の顔に出るのか、いつもウェールズ・アファンの人たちは、心配そうに私に話しかけてくれます。
たいした話はしませんが、彼らが私と日本のことをずっと気にしてくれていることが、自分が「ここにいても大丈夫」と思わせてくれます。
日本語には「見守る」という言葉があります。
この言葉に、私は「“見ている”だけでも守れるものがある」という意味が込められていると理解していますが、それを含めた的確な英語にまだ私は出会ったことがありません。
もちろん辞書を見ればいろいろ言葉が出てきますが、“守っている”という雰囲気をどうも表しきれていない気がしています。
なので、私は前回の英国留学のときには、英語圏の人に「見守る」という感覚はないと思っていました。
しかし、言葉にないというだけでそういう意識が存在しないという考え方は改めるべきだと、ウェールズ・アファンの人たちの心遣いを見ていて感じるようになりました。
ひょっとしたらウェールズの言葉に「見守る」という表現があるのかもしれません。
だから、皆さんが私をこれだけ心配してくださるのかもしれません。
今回の滞在の課題の一つは、ウェールズ語でその言葉を見つけ出すことかもしれないと思っている今日この頃です。
3月19日
ウェールズ ポートタルボット アファン森林公園ビジターセンターより
(ヒヨ吉)
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ヒヨ吉さん
現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。
現在、日英で楽しめる「鳥の本」を製作するために、ウェールズのアファンの森へ出張中。