【国際交流】ニコル エチオピアに行く ③

国際交流

シミエン山岳国立公園の中をいろいろ歩きました。リマリモ、チュネック、ミチビニ、ギッチ、チュルクネットなどなど。歩いてみて分かったことは、多くの森が切られたということ。45年前と比較すると約80%の森が消えてしまったとニコルは言っています。

なぜそんなに森が消えてしまったのか? 1つは農地の拡大。人口の増加に伴い耕作地を確保するため多くの木が伐採されてしまったのです。そしてもう1つは放牧。ヤギやウシなどが公園内の至るとことで放牧されています。その影響で下草は食べ尽くされ、土がむき出しになって、土壌が流出してしまっているところもあります。また、幼木や新芽が食べられてしまい、大きな木はあるけど若い木が見られない。つまり更新できずに森が衰退してきているのです。このまま放置すればさらに森は姿を消していくでしょう。

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孤立した木々                土壌流出

森がなくなるとどうなるか? そう、水がなくなるのです。
昔のシミエンは豊かな森があり、豊富な水が至る所から湧き出し、きれいな小川が流れるとても美しい場所だったそうです。現在はというと、土地の乾燥化が進み、所々で泉は涸れ、農業のための水の確保も困難になってきています。地元の人の話によると水は1/3に減ってしまったらしいです。
 
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涸れてしまった泉              今も残る湧水

生活のために森を切り、畑を広げ、放牧をし続けた結果、自然環境が破壊されるだけでなく水が減少して自身の首を絞める結果となっているのです。この悪循環を断ち切らない限りシミエンの復活は成しえないでしょう。そのための対策をレポートにまとめました。もうエチオピア政府にも届いているはずです。

森が消えると水が消え、人々の生活が成り立たなくなる。シミエンでの経験がニコルの「森を守る」ことの原点の1つになっているのです。

森の多くが消えてしまったとはいえ、多くの希少な生きものが住み、1000mを超える高低差の断崖、800mの落差の滝など壮大な景観等々、世界遺産シミエンが今でも素晴らしい場所であることは間違いありません。そこに昔のような豊かな森と水を復活させることができたら・・・。エチオピアが国を挙げ、地域が本気になり、そして国際協力の力を得ながら取り組んでいかなければならない困難な道でしょう。
でも、ニコルはできると確信しています。

※シミエン山岳国立公園へのレポート(C.W.ニコル/英文)はこちらからご覧いただけます。

(黒姫事務局 福地)


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