【財団の活動】震災復興プロジェクト 心の森8月・9月
心の再生初のアファン震災復興支援プロジェクトの心の森として、
8月10日~12日に宮城県東松島市のご家族をアファンの森にご招待しました。
はるばるいらして下さったご家族は大人と子供を合わせて27名。
森の入口でニコルと松木が出迎え、早速森の中へ入って頂きました。
「お疲れ様です。少しでもゆっくり森での時間を楽しんでください。」
そんな思いで、皆さんの中に入っていきました。
はじめのごあいさつでは、皆さんの表情はまだかたく、想いや感じ方もそれぞれだったのだと思います。
期待か、緊張か、おぼつかない皆さんとスタッフを、森が繋いでくれているようでした。
森での時間を過ごすうちに表情は変わり、いつのまにか笑い声やはしゃぎ声であふれていました。
最初はおとなしかった子供たちも、川遊びや森のブランコに、
「もっと向こうまでいきたい」「もっと高く」
と、目をきらきらさせて挑戦していました。
スタッフがヘトヘトになってしまうほど、朝から晩まで休むことなく森遊びです。
「私の住んでる場所は木が全部なくなっちゃった。ここには森があっていいな。」
ふとした時に子供からもれる言葉には、震災につながることがいくつもありました。
アファンの森は25年かけて再生した森です。この子供たちが住んでいる場所も、これからがんばれば必ず数十年後には森ができて、緑豊かな暮らしを取り戻せるはずだと信じています。
大人は震災の心労や子育てから離れてもらうために大人だけで過ごし、森と向き合いながら自分を取り戻す時間となりました。
最後には全員で円になっていることが不思議なくらい自然で、家族のような一体感を感じました。
また会いましょう
涙をこらえて、言葉を交わしながら、あたたかい気持ちでお別れしました。
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9月23日~25日には2回目となるアファン震災復興プロジェクトの心の森を行いました。
2日前の大型台風により宮城県東松島市も甚大な被害を受け、震災で地盤沈下が起こった地域では多くの住宅が浸水しました。
心休まらない日々をお過ごしの中、東松島市から34名のご家族がいらして下さいました。
まずは深呼吸で体に森の空気を流します。
輪になって肩をたたいたり、言葉を交わしたり、まだかたい表情の皆さんと、これから一緒に過ごす心の準備をしているような空間でした。
2日目には、子供たちだけ特別にツリークライミングに挑戦しました。
一生懸命、速くても遅くても夢中になって登る姿はとても活き活きしていて、大人たちは釘付けになって見守ります。
その後、子供たちの表情や出てくる言葉、遊び方までもが別人のようになり、笑い声やかけまわる姿が絶えませんでした。
川で遊んだ子供たちは感覚がなくなるほど冷たい水にバシャバシャと入っていました。
そして夜は森の中で、自分たちで作ったすいとんを食べて、焚き火をかこんで子供たちみんなで寄り添った時間はなんともいえない暖かさでした。
大人は大人だけで過ごし、ゆっくり流れる森の時間に寄り添って頂きました。
「もっと森にいたい」
お別れの時には、多くの方からそのようなお言葉がありました。
ご親族を亡くされている方も多くいらっしゃいました。
抱えているものは大きく、自身を保つため、ご家族を支えるために、肩の力が抜けない日々を過ごされています。 心の負担は時が過ぎるごとに薄れるわけではなく、ますます深くなっているのだと感じます。
震災復興への支援、特に心のケアは、長期的な支援こそが大切だと改めて気づかされました。
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“いつも心に森を”
これは8月の参加者の方から、後に頂いたおハガキのメッセージです。
アファンの森は25年かけて再生した森。
ご家族の皆さんが住んでいる場所も、今から希望をもち努力すれば、数十年後には必ず良い森ができて、豊かな暮らしを取り戻せるはずだと私達は信じています。
ご家族の皆様をはじめ、東松島市役員の皆様、教育委員会の皆様、そして震災支援プロジェクトにご寄付いただいた多くの方々に、改めまして心から感謝しています。
ありがとうございました。
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最後に、9月の参加者の方から頂いたお手紙をご紹介します。
9月の参加者から
アファンの森での日々は、まるで夢の世界のようで、未だ現実に戻れずにいます。
さて、野蒜小学校は震災時には二百数十名在籍していた生徒のうち9名が亡くなりました。無事だった生徒も、家族や親戚、友人を亡くした人も多く、また、8~9割の家庭で家屋も流されました。 我が子も地震発生時には、野蒜小学校の近隣にある施設に行っていました。津波は約1時間後に到達したと言われていますが、我が子は祖父母が隣町まで出掛けていたため、祖父が津波到達数分前に迎えに行き、流されずにすみました。しかし、地震時に一緒にいた子供達は亡くなりました。
ほんの少しの判断や運で人の生死が分かれてしまう現実を思い知らされました。
七夕の時の子供達の短冊には例年の願い事のほかに、「野蒜が元のきれいな町にもどりますように。」「学校が欲しい。」「大工さんになって、みんなの家を建ててあげたい。」「○○ちゃんと○○ちゃんが、生き返りますように。」など、涙なくしては見られない内容のものでした。
子供達は一見すると、普段の元気で何もなかった時のように見えます。しかし、子供ながらに沢山の悲しくやるせない体験をし、心に残っているようです。
だからこそ、アファンの森での体験は、リフレッシュする最高の場所でした。 アファンに行った方々と、感想を延々と話していたら、みんな「また、森に行きたい。」「帰って来たくなかった。」等々の意見です。
我が家は、夫の両親が農業を営んでおり、幽霊森のような小さな山もあるので、我が夫もさっそく「二コルになって、森を作る。」と言っています。
本当に大人も子供も、どう表現したらわからない程、感動しました。
ありがとうございました。
A.Kさん
(東京オフィス 嶋本、野口)