ウソ
Bullfinch
アファンの森の中には、真冬でも凍ることのない湧水が源となっているいくつかの小さな流れがあります。その側を通るとき、不意に数羽の小鳥がフワフワと舞い上がり、まるで口笛で「フィ、フィ」と吹いたような声で鳴きながら、近くの木に止まることがよくあります。
双眼鏡で観察すると、黒いベレー帽をかぶったように頭が黒く、ほっぺが赤いのが目に入ってきます。ウソという鳥です。夏の間は高い山で子育てをし、アファンには冬の間やってきます。日本を始め、ロシアからユーラシア大陸、そしてニコルさんの生まれた英国にも棲んでいます。
以前、ニコルさんとアファンの鳥の話をしたとき、「僕はウソが本当に大好きなんだよ」と言っておられましたが、英国に3年滞在していた経験がある私にとっても両方の国で観察できるウソは大好きな鳥の一つとなっていますので、その意味は理解できます。
ところでこのウソ、名前がちょっと変わっていますよね。でも名前の由来は「嘘」ではなく、昔は口笛のことを「オソ」といってそれがなまったものだと言われています。
また、このウソは地域によって羽の色が違いがあり、胸の部分がほんのり赤い「アカウソ」や胸の色がほっぺと同じくらい鮮やかに赤い「ベニバラウソ」と呼ばれるものがいます。英国ではこのベニバラウソがいて、「真っ赤なウソ」と英語圏で言っても「本当」という意味になるので注意が必要です。
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な~んて、それはヒヨ吉の大嘘です。ごめんなさい。ちょっと調子に乗り過ぎましたね。
(ヒヨ吉)
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ヒヨ吉さん
現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。