【ウェールズ便り】年末年始の暮らし

事務局日記

 明けましておめでとうございます。年末年始は時代劇、映画、ドキュメントなど豊富に放映されますので、番組の組み合わせによっては朝からTVの前を離れられず「俄かテレビっ子」になる日があります。
 クリスマス前にはディケンズのクリスマスキャロルが5本も放映されました。吝嗇な金貸しスクルージ翁がイブの夜に精霊に連れられて、自分の死も含む様々な人間模様を垣間見ます。夜が明けて夢から醒めて自分の間違いに気がつく。以後善人として人生をまっとうしてメデタシメデタシの内容。筋も解かっているし、映画によっては台詞も覚えていますが、小さなティムが不治の病で亡くなる場面や心優しい甥夫婦の会話に、毎年同じ場面でハンカチを握り締め同じ台詞に目頭を押さえてしまいます。
 
 例年この時期にこの映画を観る英国人の精神性は、日本人が時期がきたら忠臣蔵や水戸黄門をみてしまうものに似ていて、人情や忠誠、善行、正義、感謝。こんな言葉で1年を終えたい・迎えたいという願望はどこの国も同じなようです。
 
 お正月の2日、日本らしい事がしたくなって1時間ほど毛筆をにぎってみました。紙を前にして墨をする。背筋を伸ばして筆をとり墨を含ませる。そして白紙に筆をおろす。字は相変わらずお粗末なものの、書く以前の一つ一つの行為からして緊張が走り、新しい年を迎える新鮮さを味わいました。
 「新」の字の成り立ちですが、司馬遼太郎さんが「立ち木を切る、切るとそこから樹液が出る、そしてまた新たに成長していく」というような意味を述べておられました。うろ覚えが情けないのですが、こんなところにも樹木が関係しているのだなあと納得しています。
 
 今年も新たに宜しくお願い致します。
(奈)

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