【ウェールズ便り】窓の外を眺めながら思ったこと;リス

事務局日記

 寒中お見舞い申し上げます。こちらもまだまだ日が短くて、朝夕は気が滅入るような暗さです。
 
 ロンドン・カーディフ間約300km、列車では特急で2時間ですが、自家用車ですと3時間はかかります。2000年前の話で恐縮ですが、大陸からローマ人が英国征服するまでのケルト人時代には、この300kmは深い森で埋められていたそうです。リスはこの森伝いに地面に降りることなく移動出来たのだ、と主人に教わりました。
 ローマ人は木を切り倒して道路や軍事目的の要塞を次々とこさえて、英国の多くの森を消滅させてしまいました。そしてこの幸運な2000年前のリスですが、アメリカから人によって持ち込まれた灰色木鼠の繁殖により在来の英国赤栗鼠は(あのベアトリス・ポッターの絵の通りの赤いリス)今や絶滅警告赤信号が出される始末です。という訳で、ローマ人も灰色木鼠も英国ではどちらかというと悪者です。
 
 話は変わって、フラットの2階住いの私たちですが、50mほど離れて両隣に木立があります。その間は車庫で繋がっているのですが、毎朝午前8時45分頃必ず右から左の木立に木鼠が移動します。そして、11時45頃同じ木鼠が左から右の木立に帰って行きます。時々2匹で遊びながら無邪気に移動して行きます。これがとっても可愛い。タイプに疲れた目を休ませてくれる、いわば天然の目薬です。また、彼らの体内時計の正確さには感心します。悪者扱いですが、文明をもたらしたローマ人の恩恵に浴して今日ある私たちですし、灰色木鼠も所詮はあどけない罪の無い生き物、私達人間のお友達でもあります。
 一体何が良くて何が悪いのか、判断に苦しむ時代ですね。春よ来い。
(奈)

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