この春まだ寒い頃、森のなかのスギの木にかけた大きな巣箱にフクロウが卵を産みました。
最初に見つけたのはこの森でフクロウ、ヤマネ、ネズミの調査をしてくれている川崎公夫さん。
それからというもの、みんなこの森でフクロウが無事に孵ることを願っていました。
ときどき巣箱のそばを通るときは驚かさないようにそっと、でも心の中では「孵ったかな」
「孵ってくれていたらいいな」と不安と期待でドキドキしながら巣箱を眺めていました。
そして5月のある日、フクロウの雛が巣箱から顔を出している事が確認されました。
見つけたのはやっぱり川崎さん。
無事に卵から孵っていたのです。
喜び勇んで写真を撮りに行きました。
巣箱よりもかなり遠くを歩いていると、人が近づいたのを察知した母さんフクロウが、
音をたてずに人気のない国有林の方へ飛び立ってしまいました。
まだ、飛ぶことのできない子どものフクロウはじっと静かにこちらを見ていました。
その頃は1羽しか見ることができませんでしたが、川崎さんに聞くと
「ちゃんと2羽いるよ」と返事が返ってきました。
数日前、川崎さんが「2羽とも巣箱から出て近くの木の枝にとまってた!」
と撮影した写真を見せにきてくれました。
かわいくて言葉になりません。
手前の目のパッチリした方が、後ろで眠たげな視線を投げかけている方よりも体が一回り大きいです。
はやく母さんフクロウから狩りの方法を教わって、
苗木の根っこをかじって枯らせてしまったネズミを
たくさんやっつけてくれよ!!
【写真:川崎公夫さん】
(事務局 堤)