『アファンの森、いろとりどり」』 ~クロツグミ~ (2009年5月)

事務局日記

クロツグミ

 

 

 

 

 

 

 

 

クロツグミ
Japanese Grey Thrush

 

 

 

アファンの森での野鳥調査は早朝に行います。
冬季は日の出スタート、春~秋は日の出30分前からの開始です。
朝の森はとても気持ちいいので、私は大好きです。

 

東の空が白くなる頃から鳴きはじめる鳥で、キョロンキョロン、キコキコ、キッフイ~などと迫力ある声量で響かせているのは、クロツグミという鳥です。
春になると南から渡ってくる夏鳥です。

 

頭と背中が黒く、白いお腹には小さな黒い斑点。
そして、目の周りとくちばしは黄色という、とても特徴的なスタイルをしています。
今回の調査では雄のさえずり地点と雌の確認状況から1~2つがいがいる可能性があることが分かりました。

 

クロツグミはミミズが大好物。
さえずりの合間によく地面に降りて、餌をとっています。
薮になっているところはあまり好きではなく、見通しのよい場所がお気に入りです。
特に林内で草の丈がくるぶし程度のところがベストスポットのようです。
このような環境は昔、里山と呼ばれ、日本を代表する自然でした。

ミミズがたくさん棲む広葉樹の森で、人の手が入っていた里山が彼らの大好きな生息環境です。
しかし、そのような雑木林は放置されて薮が深くなってしまったり宅地化されてしまったりして急速に失われてきています。
クロツグミにとってアファンの森はきっと昔ながらの理想的な生息環境でしょう。

 

また、クロツグミはさえずりによく他の鳥の声を真似て入れるのですが、私の住む神奈川県などでは、ガビチョウという外来の鳥の声を混ぜるのです。
ガビチョウはやや声の質が異なりますので、クロツグミのさえずりが変わり始めてしまっています。
私の周りのクロツグミファンはこの変化は悲しいと言う人が多くいます。
幸い、アファンの森にはまだこのガビチョウが入り込んでいないため、クロツグミらしい声を楽しむことができます。

 

クロツグミは絶滅の危機に頻している鳥ではありませんが、今見られるクロツグミはその多くがかつての姿とは違うというべきなのかもしれません。
昔ながらのクロツグミらしい生活は急激に奪われているのです。

 

アファンの森のクロツグミ、いろいろな意味でとても貴重だと考えています。

 

(ヒヨ吉)

※今回、事情によりイラストはお休みします。ごめんなさい。

 

………….. 
ヒヨ吉さん

現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。

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