生きものたちがつくる川

事務局日記

事務所から少し歩いたところに田んぼがあります。
つい先日まで泥に浸かって田植えをする人々の姿がありました。
苗はこれから夏の日差しを浴びてぐんぐん伸びるのでしょう。

 

事務所近くの田んぼ

 

 

 

 

 

 

 

 

この田んぼに引いている用水路は事務所のすぐ前を流れる鳥居川から取水されています。
一般的に川から取水する場合は、コンクリートの堰で本流からの流れを誘導しますが、
ここの堰は自然石が並べられて出来ています。
取水口の部分は構造上コンクリートを使わざるを得ないのでしょうが、自然石でできた堰は
川の風景として違和感がありません。

自然石が並んだ取水堰

取水口 

 

 

 

 

 

 

この川は平成7年7月の集中豪雨によって氾濫し堤防決壊などの大きな被害がありました。
その後河川改修が行われるのですが、材料に自然石を使うものの、従来の護岸や落差工などと
変わらないコンクリートを多用した工事が始まりました。
このまま工事が進み鳥居川は魚などの生物が棲みにくくなる運命にあるかと思われたのですが、
この事を知ったニコルさんは工事を進めている行政に対し大きな声をあげたのです。
(この話はまたどこかで詳しくしたいと思います)

川を守りたい人たちの努力が実り工事は中止され、スイスやドイツで行われている近自然河川工法
という、自然に近い流れをつくる方法で工事が行われました。

自然な流れ

カゲロウの幼虫
 

 

 

 

 

 

 

あれから14年、河原にはキセキレイが水面を飛ぶ虫を追い、カルガモのつがいも
遊びに
やってきます。川石を起すとたくさんのカゲロウの幼虫が石の表面を這うのが見え、
魚の餌も十分にあるようです。

月に入り「フィリリリリィ~、フィリリリリィ~」と岩清水の雫のように澄んだ
カジカガエルの鳴き声が聞こえるようになりました。

人間の知恵で改修工事を施したこの川は、その後自然の生きものたちがつくりあげていっています。

 

(事務局 堤)

 

 

追伸:6月のヤブタケはなかなかの美味でした(秋のにはかないませんでしたけど)

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