『アファンの森、いろとりどり」』 ~ホトトギス~ (2009年6月)

事務局日記

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ホトトギス
Little Cuckoo
(写真:ヒヨ吉)

 

 

 

6月の調査でアファンの森を訪れたときに、短い時間でしたが、夜の森を歩いてみました。

 

この時期のアファンの森の夜は、宮崎駿監督の長編アニメ「もののけ姫」に出てくる木霊(こだま)が出す音のようなモリアオガエルのコココともクククとも聞こえる声が響きます。

昼間に聞くこともありますが、彼らが本来夜行性だからでしょうか、夜の方が昼間よりも一つ一つの声が大きく聞こえます。

 

今回夜の森を歩いた一番の目的は、トラツグミという鳥の声を聞くため。

前回ご紹介したクロツグミと同じ仲間ですが、夜行性で体は二回りほど大きく、夜に悲しげな金属的な細い声で「ヒー、ヒョー、ヒー」と鳴きます。

まだ私はアファンの森で声を聞いたことがないのですが、ミミズが大好物のトラツグミですから、アファンの土の豊かさから考えて生息していてもおかしくないと考えています。しかし、残念ながら声を聞くことはできませんでした。

 

そのかわり…というわけではありませんが、森の上を盛んにホトトギスという夏に日本にやってくる鳥が飛び回っていました。

悲しげに鳴くトラツグミとは対象的に、大きく特徴ある「キョッキョキョキョキョ」という元気な声が夜空に響いていました。

鳥の声を人の言葉に置き換えることを「聞きなし」といいますが、ホトトギスは「特許許可局」「てっぺんかけたか」などの聞きなしがあります。

とてもはっきりした声なので、自己流の聞きなしを作られる方も多いです。

 

実はホトトギスは自分で子育てをせず、ほかの鳥の巣に自分の卵を産み込んで育ててもらうという繁殖スタイル(托卵といいます)をもっていて、主にウグイスの巣がねらわれます。

ですから、ホトトギスがいるということは、ウグイスもいるということを教えてくれます。

事実、翌朝はウグイスのさえずりが数多く聞かれました。

 

 

バードウォッチングというものは、ついつい実際に見られたことに重点が置かれてしまいがちですが、たとえ姿が見えなくても、純粋に声を楽しむということもできますし、ほかの鳥との関係を知ることで1種類の鳥の確認が、「見えない情報」を教えてくれることがあります。

 

なんだか推理小説を解くようなおもしろさが、野鳥との出会いには秘められているのです。

私が鳥好きなのは、こんな理由もあるかもしれません。

 

(ヒヨ吉)

※事情によりイラストはお休みします。ごめんなさい。

 

………….. 
ヒヨ吉さん

現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。

 

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