『アファンの森、いろとりどり』 ~サンショウクイ~ (2009年9月)

事務局日記

サンショウクイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サンショウクイ
Ashy Minivet

 

 
9月、夏を歌った鳥たちの一部は南へ渡る準備を開始します。

子育てに没頭する5-6月は時期には羽づくろいする時間が短くなるために、相当傷みます。繁殖が終わった7~9月は、まだ虫の多い時期でもあり、子育てを終えた親鳥たちは餌をいっぱい食べて栄養をつけ、羽をなるべく早くに生え換わらせて新しい羽を揃えます。

 
縄張りを維持する必要もなくなってひっそり気配を消していますが、鳥たちは森の中で旅立ちをする「その日」のために、確実に動いています。

 
そんな中で、ちょっと驚いた発見が9月の調査ではありました。

サンショウクイという鳥が翼の羽がボロボロにも関わらず、独特な「ピリリン、ピリリン」というさえずりの声を出してアファンの森の上空を飛び回っていたのです。

夏に日本にやってくる白と黒のシックなカラーリングをしている私の好きな鳥。以前は都市近郊でも見られた鳥ですが、現在は数が減少してしまった鳥です。

しかし、アファンの森には毎年やってきています。

 
なぜこの時期に、しかも羽がボロボロなのにさえずりながら飛び回っているのか、知人に聞いてみましたが理由はわからず。ただそれは稀なことではなく、渡りの途中でもよく鳴く鳥だそうです。

 
今回の観察で、夏に元気にさえずっていたオオルリやキビタキは静かに餌をとって渡りの準備をしていました。このように普通は繁殖が終われば鳴かなくなる鳥たちですが、サンショウクイのように個性的な鳥もいるのが自然の不思議でおもしろいこと。

こういうのも「生物多様性」と言えるのかなと考えはじめています。 

 

高い木の枝先が大好きなサンショウクイ。なかなかじっくりと観察ができない風のような鳥とはもうすぐお別れですが、来年また会えるように、自分もしっかり元気でいなくてはと思いながら、アファンの森を後にしました。

(ヒヨ吉)

※イラスト復活しました!

 

………….. 
ヒヨ吉さん

現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。

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