【事務局日記】被災者へのメッセージ
事務局日記先週、
BS朝日で放映された番組
『RICOH presents アファンの森の物語~ウェールズ編』
の撮影手記&後記を「ウェールズの森から」という固定したページでご紹介します、
とお知らせしました。
この番組の前編では、
1966年に起こった大規模な土砂崩れについて触れられていました。
石炭採掘のために森を伐採し、石炭カス(ぼた)が積まれたハゲ山の斜面が大きく崩れたのです。
この土砂崩れはふもとの小学校を直撃し、多くの子ども達が犠牲となりました。
ウェールズのアファンの森の再生は、この大災害がきっかけになっています。
当時、その小学校で授業を受けていて土砂に巻き込まれ、
奇跡的に救出されたかった被災者の方とニコルがお会いしています。
その当時のこと、その後のことを淡々とニコルに語っていたシーンが印象的でした。
「気が付いたら、全身を埋めつくされていた。」
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「何度も悪夢をみたし、眠れなくなった。集中力もなくなった。」
「学校には怖くて行けなくなった。災害と結び付いてしまったから。先生達も登校を強制せず、自然に戻ってくるのを待っていてくれた。これはとてもよかったと思う。」
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「遊ぶことはとても大切だった。子ども達で森の中へ遊びに行った。
町の中では、同い年の子はいなくなってしまったし、遊んでいると子どもを亡くした親達の顔が曇るのも感じた。
森の中では、子ども同士お互いを理解しながら遊ぶことができて、癒しの効果もあった。」
・・・
番組の中で日本の被災地にメッセージかアドバイスをいただけませんか、
というニコルの言葉にその方は、
「“進んで話す”ことです」
とおっしゃっていました。
「当時は両親にすら被災のことを話すのが難しかった。ましてや関係のない人に話すなんて。
カウンセラーは共感してくれたのでとても助けになった。」
「多くの人が何年も口にしなかった。自分の経験と折り合いが付けられなくなって、
そのストレスを紛らわすためにアルコールなどに手を出したんだ。」
「だから、僕にできるアドバイスは、進んで話すことだ。忘れずに思い出すために。」
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「自分の体験は死ぬまでつきまとう。でも諦めずに意志を貫き通すんだ。
そして、自分の人生を築き直し、他人にも影響を与える人生を送るべきだ。
そうすればコミュニティも築き直せる。
コミュニティを無くすほど悲惨なことはないからね。」
あの方は、まさに生き見本だな、と改めて感じました。
(黒姫事務局 河西)