アファンの森を支援してくださっている皆様、こんにちは、ヒヨ吉です。
日英野鳥図鑑作成のため、5月下旬に黒姫アファンにお邪魔しました。
前回の訪問では、繁殖のためにしきりに縄張り争いをしていた夏鳥たちですが、今回の訪問では、それぞれにパートナーを見つけて巣作りを終え、卵を産み温めていました。
木の洞や地面などに巣を作るのですが、今回は木の横枝に巣を作るコサメビタキという鳥を紹介します。
コサメビタキ
Brown Flycather
(スズメ目ヒタキ科)
コサメビタキは夏に日本に繁殖のためにやってくる夏鳥です。
スズメより小さくて、キビタキによく似た格好をしていますが、全身がほぼ灰色という地味な姿をしています。
しかし、ヒタキの仲間特有の大きな瞳がとてもかわいらしく、キビタキのような“華麗さ”とは違う魅力の持ち主ですので、コサメビタキのファンは意外と多いです。
キビタキは木の小さな樹洞などに巣を作りますが、コサメビタキは木の横枝にお椀型の巣を作ります。
天敵に見つからないように周辺からウメノキゴケなどを集めて、クモの糸を使って付着させます。
完成した巣は木のこぶのような姿になり、よくカモフラージュされています
今、黒姫のアファンで、コサメビタキは観察するのはとても簡単になりましたが、私がまだニコルさんの学校の学生だったころ(およそ20年前)は、ほとんど見られませんでした。
森が現在のように広くなかったということもありますが、一番の要因は森の状態ではないかと思っています。
森に手が入り、下の藪を開いたことで林内の空間が増え、樹冠よりも下で飛びながら虫を捕えているコサメビタキのような鳥にとって、好環境が増えたことが重要だったのでしょう。
昔は平地の雑木林でもごく普通にいたコサメビタキ。
それが今ではほとんど見ることができません。日本国内の里山管理が変化したことが原因です。
自然のリズムを鑑みながら積極的に人間が関わっていくスタイルによって守られる緑があり、それを巧みに利用している小さな命の存在を、コサメビタキが代表として教えてくれているような、そんな気がしています。
(ヒヨ吉)
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ヒヨ吉さん
現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。