『アファンの森、いろとりどり』 ~サシバ~ (2012年9月)

事務局日記

アファンの森を支援してくださっている皆様、こんにちは、ヒヨ吉です。

日英野鳥図鑑作成のため、9月上旬に黒姫アファンにお邪魔しました。

前回の訪問は野鳥たちの繁殖期。たくさんの夏鳥たちの声が響き渡っていた黒姫アファンでしたが、秋の風が少し流れ始めた9月の森は、虫たちの声にその主役を譲っていました。

 

そんな森の上を、数羽のタカが輪を描きながら飛んでいく光景を何度も目にしました。

大きさはカラスくらいでお腹はやや白っぽく、背中が赤茶色の鳥です。サシバです。

 

サシバ gray-faced Buzzard (タカ目タカ科)

 

 

 

 

 

 

 

 

サシバ
gray-faced Buzzard
(タカ目タカ科)

 

サシバは日本に夏鳥として飛来し、里山でカエルやトカゲ、昆虫などを餌にして子育てをする猛禽類。冬は南西諸島や東南アジアなど暖かい地域で過ごします。

昔は里山ならどこにでもいるタカでしたが、全国的な里山の開発などにより、ずいぶんと数を減らしています。

20年ほど前の黒姫周辺では、数は多くなかったもののサシバが子育てをしている谷もいくつかありましたが、今では秋に上空を通過するだけになってしまったようです。

 

サシバが黒姫周辺をどのように通過しているかを知りたくて、今回、アファンの森付近を見渡せる場所から観察してみました。

すると、サシバは森の北にある黒姫山付近で上昇気流をとらえて高度を上げ、森の上空で急に降下して、森の南側でまた上昇気流に乗って高度を上げていたのです。

 

上昇気流を上手に使って渡りをするサシバですので、その日も気流を読んで行動していたのだと思いますが、なぜアファンを低空で通過する必要があったのか、私には少し不思議に思えました。

なぜなら、効率を考えれば、上昇気流で稼いだ高度を維持して南側の上昇気流をとらえる方が良いからです。

降下をする必要はないはずなのに、なぜ?

 

私はこのときのサシバの行動を見ていて、「アファンの森を見に来ているのでは?」と思いました。

 

以前、毎年サシバの渡りを観察している人からうかがったことがあるのですが、サシバは緑の豊かな場所の上空を通るようにして渡りのルートを決めているような感覚があるとのことでした。

 

それを聞いた経験と今回のサシバの行動から、以前、ニコルさんの本『tree』で、アファンの森を上空から撮影した写真を見たことを思い出しました。

周囲の森に比べてコナラなどの広葉樹たちの葉が生き生きとし、見るからに「豊かな森」という印象でした。私は「このときのカメラマンは気持ちよかっただろうな」とうらやましく感じたものです。

 

(ヒヨ吉)

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ヒヨ吉さん

現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。







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