フクロウの巣
調査研究今日、アファンの森でフクロウがこれまでに使った2つの巣に”巣床”を戻す作業をしました。
フクロウが使った巣の底には腐葉土のようなものが堆積しています。
私はこれを巣床とよんでいます。
人間が巣箱をかけても、この巣床がないとフクロウは営巣してくれないそうです。
今年の夏、アファンの森で植物と動物の関わりについて調べてくれている大学の研究室
のメンバーがこの巣床を持ち帰り、中にたまったペリットの分析してくれていました。
その作業が終わり、来年もフクロウがこの巣を使ってくれるようにと巣床を元の場所へ
戻したのです。
フクロウは餌となるネズミなどの動物を丸ごと飲み込みますが、消化できなかった骨や毛は
胃の中で塊となり口から吐き出されます。この毛玉のような塊をペリットと言います。
この巣で育ったフクロウのこどもが吐き出したペリットをていねいにほぐし、中から出てきた
ネズミの頭骨などから餌となった動物の種名とその量を調べます。
これにより周辺にいるネズミの種名とその数。
ネズミの餌となるドングリやクルミのなる木がたくさん実をつけたのか、そうでなかったのか。
ドングリやクルミの木の健康状態は・・・。
といったように森の状態が人間にもわかりやすい形で見えてくるというわけです。
これは私たちがアファンの森に手を入れる事によって、森の環境がどのように変化している
のかを知るとても重要な作業の1つです。
【シラカバの樹洞】
写真は昨年営巣していたシラカバの樹洞。
自然にできたものですが少しサイズが小さく、卵を温める
親フクロウの尾羽がいつも飛び出していました。
【木製の巣箱】 【巣床の材料を戻します】
こちらは人間が作った巣箱。スギの木にかけました。
充分な大きさだったと思います。
今年の春、ここから2羽のフクロウが巣立ちました。
昼間、ねむたげな顔をしたこどもフクロウが枝にとまりじっとしている姿が見られました。
【ペリットの中身】
写真は昨年見つけたフクロウのペリットから出てきた
ネズミの頭骨と毛です。
ネズミが増えすぎると、冬場に餌が不足して苗木の
根をかじるなど森への悪い影響がおこります。
フクロウはネズミを食べ、増えすぎないように調整する
働きもしてくれています。
この森にとっては、とても大切な仲間なのです。
(事務局 堤)