【財団の活動】森の水路の手入れ

調査研究

アファンの森は人の手で再生した森として多くの方に訪れていただいています。
ですが29年前までは、約40年以上放置され「幽霊森」と呼ばれる暗く荒れた場所でした。

再び光を入れ、生きもので溢れる森へと甦らせるためにおこなってきた森の手入れ。

その中でアファンの森を大きく変えたひとつが池や水路の造成です。

廃水が悪く水が停滞していた湿地の水分を流し、植物の育ちやすい環境にしようと弥生池の南西に2004年に造成した水路は、10年が経った今緑豊かな場所へと変わっています。

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造成当初                  現在

そしてこの水辺の整備に伴いおこなってきたのが水生生物の調査です。
池と水路の造成により水生生物は増加し、2007年~2010年には23目87科192種が確認されました。

しかし、2013年の調査結果では16目58科123種となり、減少へ…
造成直後は似た生息条件を持った種が同じ場所に暮らせていましたが、その後の縄張り争いや餌の取りあいなどにより、決まった種しか暮らせなくなってしまったのかもしれません。
また、水面は植物が茂り、水中は泥がたまり流れや水深の変化が少なくなっているため、環境自体も単一化してきていると考えられます。

そこで、人と自然の研究所の皆様のお力をお借りし、人為的なかく乱を起こし再び多様な環境を作り出そうと、水路の泥上げを実施しました。

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泥上げ前                  泥上げ後

泥上げ後、足を取られるほど水底にたまっていた泥は少なくなり、水面を覆う植物は一度ゼロの状態に。
水深が確保され、水の流れもできはじめました。

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日々の手入れも、特殊な手入れも、環境に変化を及ぼします。
人から見るとわずかな変化であっても、限られた範囲で暮らす小さな生きもの達にとってはとても大きな変化となります。

この水路でも、手入れにより減少する種、増加する種、そして新たに加わる種がいるはずです。
これからどんな生きもの達で構成されていくのか、さらなる調査を続けていただきます。

(黒姫事務局 嶋本)


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