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アファンの森は今


⑥国際交流

アファンの森財団では国際交流事業の一環でエチオピアの世界遺産シミエン山岳国立公園の自然再生への支援をおこなっています。

0929_simien0.jpg昨年初めてシミエン山岳国立公園のスタッフが視察に来られてから交流が始まり、今年1~2月にはニコルが視察・調査のためエチオピアを訪問しました。
今回の来訪ではエチオピア政府の文化観光省国務大臣や野生生物保護機構の長官といった方々もいらっしゃいました。交流も本格化してきて、シミエン山岳国立公園を危機遺産から救うためにエチオピア政府も本気になってきたのかもしれません。今回も活発なディスカッションが行われ、シミエンを救うための様々なアイデアが示されました。
 

シミエンではこれまで放牧や焼き畑などが国立公園内でおこなわれてきました。その影響で森林面積は激減し、乾燥化が進んで水も減少しています。このまま何もせずにいたら手遅れになってしまうでしょう。でも今ならまだ間に合うと現地を視察して確信しました。私たちの提出した様々なアドバイスが実を結び、昔のような本当に美しいシミエンに戻すことができたなら最高ですね。今後もできる限りの支援を続けていこうと思います。

0929_simien1.jpg今回、ニコルは大臣からシミエン山岳国立公園の親善大使に任命されました。
 
 (黒姫事務局 福地)


シミエン山岳国立公園には固有種をはじめたくさんの動物を見ることができます。
そのいくつかを紹介しましょう。

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ゲラダヒヒ                 クリップスプリンガー
 
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オオハシガラス              ヒゲワシ
       
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ズキンハゲワシ             マダラハゲワシ
       
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キバシトビ                 イボトキ

シミエンの主役のひとつでもあるワリアアイバックスは、今回は残念ながら見ることはできませんでした。

(黒姫事務局 福地)


シミエン山岳国立公園の中をいろいろ歩きました。リマリモ、チュネック、ミチビニ、ギッチ、チュルクネットなどなど。歩いてみて分かったことは、多くの森が切られたということ。45年前と比較すると約80%の森が消えてしまったとニコルは言っています。

なぜそんなに森が消えてしまったのか? 1つは農地の拡大。人口の増加に伴い耕作地を確保するため多くの木が伐採されてしまったのです。そしてもう1つは放牧。ヤギやウシなどが公園内の至るとことで放牧されています。その影響で下草は食べ尽くされ、土がむき出しになって、土壌が流出してしまっているところもあります。また、幼木や新芽が食べられてしまい、大きな木はあるけど若い木が見られない。つまり更新できずに森が衰退してきているのです。このまま放置すればさらに森は姿を消していくでしょう。

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孤立した木々                土壌流出

森がなくなるとどうなるか? そう、水がなくなるのです。
昔のシミエンは豊かな森があり、豊富な水が至る所から湧き出し、きれいな小川が流れるとても美しい場所だったそうです。現在はというと、土地の乾燥化が進み、所々で泉は涸れ、農業のための水の確保も困難になってきています。地元の人の話によると水は1/3に減ってしまったらしいです。
 
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涸れてしまった泉              今も残る湧水

生活のために森を切り、畑を広げ、放牧をし続けた結果、自然環境が破壊されるだけでなく水が減少して自身の首を絞める結果となっているのです。この悪循環を断ち切らない限りシミエンの復活は成しえないでしょう。そのための対策をレポートにまとめました。もうエチオピア政府にも届いているはずです。

森が消えると水が消え、人々の生活が成り立たなくなる。シミエンでの経験がニコルの「森を守る」ことの原点の1つになっているのです。

森の多くが消えてしまったとはいえ、多くの希少な生きものが住み、1000mを超える高低差の断崖、800mの落差の滝など壮大な景観等々、世界遺産シミエンが今でも素晴らしい場所であることは間違いありません。そこに昔のような豊かな森と水を復活させることができたら・・・。エチオピアが国を挙げ、地域が本気になり、そして国際協力の力を得ながら取り組んでいかなければならない困難な道でしょう。
でも、ニコルはできると確信しています。

※シミエン山岳国立公園へのレポート(C.W.ニコル/英文)はこちらからご覧いただけます。

(黒姫事務局 福地)


ニコルは45年前、現在のシミエン山岳国立公園の中のサンカバルというエリアに家を建てて暮らしていました。

そこを久しぶりに訪ねてみると、家はすっかりなくなっていました。エリトリア独立の内戦の時期に壊されたらしいです。でも、家の基礎や庭に咲いていたバラの木が今もそのまま残っていました。

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もうひとつ。当時ニコルが作った泉が今も残り、湧き出すきれいな水が地元の人たちの生活の役に立っていました。

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ニコルは「楽しい思い出の家は失われてしまったが、自然に戻ったからいい。泉も残っていてホッとしている。思い出は書き綴った記録に残っているからよかった。」と。

(黒姫事務局 福地)



1月中旬から3週間ほどニコルはエチオピアを訪問してきました。

なぜエチオピアなのか? それは45年前に当時のハイレ・セラシエ皇帝の命によりシミエン山岳国立公園をつくり、初代の公園長となったのがニコルなのです。ということで45年ぶりのエチオピアです。今回の訪問はJICAのSIMCOTプロジェクトを展開する北海道大学の依頼で、世界遺産シミエン山岳国立公園などを視察しました。

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シミエンといえば1978年にガラパゴス諸島などと同時に世界遺産に登録された最初の12件のうちの1つです。しかし、農地の拡大やエリトリア独立の内戦などの影響により、1996年には危機遺産に登録されてしまいました。
シミエンが危機遺産から脱し、昔のような緑豊かな環境を取り戻すにはどうしたらいいのか? その答えを探すのが今回の旅の目的です。

※シミエン山岳国立公園へのレポート(C.W.ニコル/英文)はこちらからご覧いただけます。

(黒姫事務局 福地)


0816_etiopia1.jpgエチオピアの世界自然遺産 シミエン国立公園から副公園長ほか視察団がアファンの森にいらっしゃいました。実はこの国立公園をつくり、初代公園長を務めたのが若き日のC.W.ニコルなのです。彼らにとってニコルはヒーローなのだそうです。

シミエン国立公園は今、地域住民の農地拡大などによる環境悪化の影響で危機遺産に登録されてしまっています。ニコルが公園長であった当時の公園には豊かな森が広がっていましたが、その森も大半が伐採されてしまったようです。

0816_etiopia2.jpgその状況を打開し、昔のような公園にするにはどうしたらいいか?
ニコルの撮りためた貴重な当時の写真を見ながら、会議ではたくさんの話し合いがなされました。
ニコルも当時の苦労話や現在の森林再生の経験を交えてたくさんのアドバイスをし、皆さん本当に真剣に耳を傾けていました。


0816_etiopia3.jpg午後は森をゆっくりと散策して森の再生・森づくりについて学んだ後、ニコルのつくったエチオピア料理でおもてなし。
初代公園長と過ごした1日で、視察団の皆さんはたくさんのものを持ち帰ったのではないでしょうか。

(黒姫事務局 福地)


アファンの森は、英国ウェールズ・アファン森林公園と「姉妹森」です。

 

姉妹森調印式お姉さんであるウェールズのアファン森林公園の前チーフレンジャーであるリチャード・ワグスタッフさん(上の写真、中央)が、この度MBEを授与されることになりました。

 

MBE(Member of the Order of the British Empire)は大英帝国勲章のひとつで、

功績の顕著な経済人、文化人、芸能人、スポーツ選手や社会奉仕活動等におくられるもので、

2005年にニコルも賜りました。

 

姉妹森の両方で、その功績が認められてMBEの叙勲者がいることは、

すごいことだな、と感じます。

 

(事務局 河西)

 

ヨーロッパヨタカ  ※著作権保護のため、画像に一部加工をしております。ご了承ください。

 

 

 

ヨーロッパヨタカ
European Nightjar

 

 

前回のブログで、すべての鳥を描き終えたとお伝えしたばかりですが、それがもう嘘になってしまいました。

今まで気配がなかった鳥、ヨーロッパヨタカを観察できたのです。

 

ヨタカの仲間は夜行性で、暗い空を飛びながら蛾など捕える生活をしています。

6月になってからウェールズ・アファンでヨタカの好む蛾がたくさん発生していましたので、ここ数日に越冬地であるアフリカから到着したのでしょう。

およそ48平方マイルの敷地をもつアファン国立森林公園。

その中を約半年間、ほぼ毎日のように10~20km歩き回って確認した鳥は81種(6月6日現在)にもなり、そのなかで図鑑掲載用に描いたのは、複数回記録できた67種類となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モリフクロウ
Tawny Owl

 

 

 

最後に描いたのは、夜行性の鳥、モリフクロウです。

昨年10月から滞在(個人的事情により、途中一時帰国をしておりますが)して野鳥を実際に観察しながら描きためたスケッチを基に作成している図鑑掲載用のファイナルワークも、今まさにラストスパートというところです。

 

図鑑掲載用のファイナルワーク 

ウェールズ・アファンの森では最近見られなくなってしまった鳥がいます。

マダラヒタキ(Pied Flycatcher)です。

 

スズメより一回り小さい白と黒のまだら模様で、ウェールズを始めとする英国内では、大きなオーク(ナラの木)のある森で子育てをします。冬の間はアフリカで過ごし、オークの木から葉が出る4月下旬頃に英国にやってきます。

近年、ヨーロッパ全体で急激に減少している鳥が生息しているウェールズは、鳥が好きな私にとって魅力ある地域です。

 

マダラヒタキの記録があるウェールズ・アファンに残る数少ないオークの森2010年5月、下見でウェールズ・アファンに来たとき、マダラヒタキの記録がアファンにもあると聞きました。今年はマダラヒタキを見たくて毎日森林公園のオークの森の中を探していましたが、どうしても見つけることができませんでした。

 

(写真)マダラヒタキの記録があるウェールズ・アファンに残る数少ないオークの森

 

今、ウェールズ・アファンの森林公園の林床には、ブルーベルという花がたくさん咲いています。

この花の青さには少し紫が入っていますが、なかなか写真では表しきれない微妙な色です。

 

木陰の下で風に揺れているブルーベル木陰の下で風に揺れていると、本当にきれいで、先を急がなくてはいけないときでも、ついつい足を止めて見とれてしまいます。

 

森林公園のレンジャーのニックさんによれば、

今年は例年に比べると花が少なく、色もあまりよくないとのこと。

この花は、つぼみが作られるときに水分がたくさん必要らしいのですが、今年は異常に乾燥しているため(3~4月はほとんど雨が降りませんでした)、花が弱々しいとのことでした。

 

 

 

そんな厳しい時期を乗り越えてやっと花を咲かせているブルーベル。

色が良くなくたって、数が少なくたって、私はかまいません。

 

今、私の目の前で、咲いてくれていること。

そのことだけで、私は十分幸せです。

 

(ヒヨ吉)

※掲載画像を許可なく使用したり、引用することを固くお断りいたします。

 

..............

ヒヨ吉さん

現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。
現在、日英で楽しめる「鳥の本」を製作するために、ウェールズのアファンの森へ出張中。

 

カッコウ(Cuckoo)

 

 

 

 

 

 

 

 

カッコウ
Cuckoo

 

 

南からやってくる鳥たちの中で、時期を遅くしてやってくる(彼らにしてみれば別に遅いわけではないのですが)ものが、24日に到着しました。

カッコウです。

今、こうしてウェールズにいられる喜びの一つに、実際の鳥の生息地に滞在しながら鳥を描けるということがあります。

これは、とても貴重な経験だと思っています。自分の目で観察した色ならば、パレットの上で再現色を作るのも比較的簡単ですし、自信が持てます。

一日森を歩いて夜に観察した内容を再現しながら鳥を描いていく時間は、大変ではありますがとても楽しいです。

 

上からモリムシクイ(wood warbler)、キタヤナギムシクイ(willow warbler)、チフチャフ(chiffchaff)しかし、3月以降に順次飛来しているムシクイ類と呼ばれるウグイスに近いグループの野鳥は、どの種類もよく似ていて見分けが難しく、イラストはすぐにはできません。

 

左の画像は、上から

 

モリムシクイ (wood warbler)

キタヤナギムシクイ (willow warbler)

チフチャフ (chiffchaff)

 

という鳥です。

 

ウェールズでの滞在も、折り返し地点になりました。

地面の草が本当に毎日伸びているのがわかるくらいに、緑の深みが日々増しています。

 

実はこのところ、きちんとフィールドを歩けていませんでした。

4月15日に英国で出版されている野鳥の絵と写真の雑誌BIRD ART & PHOTOGRAPHY(バードアート&フォトグラフィー)の取材を受けることになり、宿舎で描いた絵の解説をするための文章や質問されそうなことを説明するための事前のテキストの準備をしていました。

しかし、自分の絵のことを説明する原稿の準備をしていて、黒姫のアファンとウェールズ・アファンのことを正確に説明する英語力の不安を感じてしまい、私の滞在のバックアップをしてくださっているCELT21のクリスチャンさん(第14回参照)にお願いしたところ、忙しい仕事の中で時間を作って来てくださいました。

 

黒姫アファンと姉妹森締結で整備された「漢字の森」の前で野鳥観察をするデービッドさん(左)とクリスチャンさん取材中、クリスチャンさんはこの雑誌の編集長のデービッドさんと多岐にわたって話が盛り上がっていて、今回の出会いを楽しんでいる様子だったのが、私は何よりうれしかったです。

 

(写真:黒姫アファンと姉妹森締結で整備された「漢字の森」の前で野鳥観察をするデービッドさん(左)とクリスチャンさん) 

こちらは3月27日からサマータイムも始まって、とても春らしくなりました。

 

3月中旬までは夜間に宿舎の水道管が凍って朝に水が出なかったり、宿舎からビジターセンターまでの急な下り坂が霜で滑ることもありましたが、その心配ももうありません。

歩いて3分のところにあるトイレやシャワーに行くにも防寒着が要らなくなって、ずいぶん快適になりました。

 

ウェールズ・アファン散策路には牧場の中を通るものがあるのですが、その道では今、生まれたばかりの子羊たちをたくさん見ることができます。 

時には、私を親と間違えてついてきてしまうものもいるのですよ。 

かわいくて、じっと見ていたくなるのですが、母親が心配そうにこちらを見ているので、「お母さんはあっちだよ」と言いながら、ゆっくりその場を立ち去ります。 

散策路で見られる子羊        「お母さんはあっちだよ」

 

 

チフチャフが来ていたヤナギの木

夏鳥たちも少しずつやってきています。

ツバメのほか、チフチャフというウェールズ・アファンでは定番の夏鳥もアファンのヤナギの木々にやってくるようになりました。

 

(写真:チフチャフが来ていたヤナギの木)

 

 

 

2月から描き始めたファイナルワーク

さて、2月から描き始めたファイナルワークは、なんとか26種類を描き上げました(左写真)。

3月いっぱいに30種は描き上げたかったのですが、毎日の山歩きと夜の作画作業のバランスがどうも保てず、目標には届かず(苦笑)。

現地滞在中の最終目標にはまだ遠い道のりですが、残り2ヶ月半でウェールズ・アファンの鳥たちを“現場の色”で描き続けたいと思います。

 

(ヒヨ吉)

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ヒヨ吉さん

現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。
現在、日英で楽しめる「鳥の本」を製作するために、ウェールズのアファンの森へ出張中。

 

2011年3月30日。

この日は私にとって忘れられない日となりました。

 

1974年からこの日までウェールズ・アファン森林公園で仕事をし、ニコルさんの黒姫・アファンとの姉妹森締結で尽力された公園長のリチャードさんの早期退職の日となったからです。 

退職祝い品の贈呈(中央の白い服を来ているのがリチャードさん)

 

 

 

 

写真:退職祝い品の贈呈
(中央の白い服を来ているのがリチャードさん)

 

 

英国在来種のナラの木の苗木も記念樹も贈られました

 

 

 

 

写真:
英国在来種のナラの木の苗木も記念樹も贈られました

 

普段は山の中で暮らしている私ですが、時々日本人の方にもお会いする機会があります。

ウェールズ・アファンがニコルさんの黒姫・アファンと姉妹森を締結したときから活動が始まった「ウッドペッカーズ(日本語でキツツキを意味します)」という日本人のボランティアのグループの皆さんです。

年に何度か森での作業などを手伝いに週末にやってきます。

 

昨年11月の活動に私もご一緒させていただいたとき、このグループをまとめておられるCELT21のクリスチャンさんと奥様の奈都世さんから、「ぜひ鳥の描き方をウッドペッカーズの方にレクチャーしていただけますか?」とお願いをされ、ようやく準備の整った3月のある日に、鳥の描き方を伝えるために山を下ってウェールズの首都・カーディフへ行ってきました。

久々の都会は、物と人にあふれていて、驚きの連続でした。

たまには街もいいですね。

 

“鳥らしさ”についてお話 (ルイス サール 奈都世さん提供)焼肉のレストランを貸し切っての会場で、まず鳥を描く上で、“鳥らしさ”についてちょっとだけ画像を使ってお話させていただいた後(写真01)、こちらで人気のあるロビン(和名はヨーロッパコマドリ)という鳥を題材にさっそく描いてもらいました。

 

(写真01 : ルイス サール 奈都世さん提供)

 

 

子供達がダイナミックに絵を描いていく様子にはびっくりしました(写真02)。もちろん、大人も鳥の形をしっかりマスターされていて(写真03)、皆さんの飲み込みの早さには、ただただ驚くばかりでした。

 

子供達がダイナミックに絵を描いていく様子にびっくり (ルイス サール 奈都世さん提供)         大人も鳥の形をしっかりマスター (ルイス サール 奈都世さん提供)

(写真02 : ルイス サール 奈都世さん提供)   (写真03 : ルイス サール 奈都世さん提供)

 

将来、ひょっとしたらすごいアーティストがこのウッドペーッカーズから生まれるかもしれない…

 

そんな予感さえさせる、すてきな時間でした。

ウッドペッカーズにいらした方の中には、日本にご帰国されている方もいるので、この場におられなかったその方々とも、いつか黒姫のアファンでも会えたら、うれしいなぁと思いました。

 

このような機会を与えてくださったクリスチャンさんと奈都世さん、本当にありがとうございました。

 

(本当はもっと早くにこの記事をアップする予定でしたが、日本の状況についてウェールズ・アファンの人々に関する文章を先に読んでいただきたく、掲載を延ばしておりました。ご了承ください)

 

(ヒヨ吉)

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ヒヨ吉さん

現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。
現在、日英で楽しめる「鳥の本」を製作するために、ウェールズのアファンの森へ出張中。

 

私は最近、希望が一つ叶いました。

元駐日英国大使のグレアム・フライさんとの出会いです。

 

グレアムさんが野鳥好きであることを日本の新聞記事で以前読んでいた私は、今回のウェールズ滞在中に日英野鳥図鑑のために描いている私の絵を見ていただく機会があることを望んでいました。

以前、グレアムさんはニコルさんの黒姫の森を訪問されたことがあり、ニコルさんの勧めもあってグレアムさんと渡英前からメールではやり取りをさせていただいていました。

しかしグレアムさんは今、有名な英国の野鳥保護団体の評議員をしておられるなどのご多忙のため、今回の滞在中には会えないかもしれないと思い始めていました。

 

ところが2月に

「3月になったら鳥類保護検討会議で南ウェールズに行くけれど、

その後にアファンに行ってもいいかい?」

との連絡をくださり、お目にかかれることになりました。

 

私の絵を一枚ずつ丁寧に見てくださいました(ルイス サール 奈都世さん提供)貴重な時間を割いてアファン森林公園に来てくださり、私の絵を一枚ずつ丁寧に見てくださいました。(写真01)

 私は緊張していてほとんど何も言えなかったのですが、絵の良い点や修正したほうがいい箇所の指摘してくださいました。さすが、鳥好きの方の着眼点の連続でした。

 

(写真01 : ルイス サール 奈都世さん提供)

 

アファン森林公園ビジターセンターで (ルイス サール 奈都世さん提供)写真02はアファン森林公園ビジターセンターで一緒に記念撮影をしたときのもの。ニコニコしていますが、実は私、双眼鏡でレンジャージャケットの襟が曲がっているのも気がつかないくらい緊張しています。

 

 

(写真02 : ルイス サール 奈都世さん提供)

 

「良い本ができることを楽しみにしているからね」 (ルイス サール 奈都世さん提供)

「良い本ができることを楽しみにしているからね」

森を一緒に歩いていたときにこの一言をいただき、私の心は喜びでいっぱいになりました(写真03)。毎日山をたくさん歩いて野鳥を観察し、夜に作画をする日々で疲れもたまっていましたが、そんなものはどこかへ飛んでいってしまうほどでした。そして、改めて野鳥画家としてウェールズにいることに“エンジン”がかかりました。

(写真03 : ルイス サール 奈都世さん提供)


 

あこがれのグレアムさんにお会いできることをほぼあきらめていましたが、夢を心に抱きながら自分のできることを一つ一つ積み上げていると、神様はふと機会を与えてくださるのだと思いました。

 

 

今、日本では震災によって夢を失っている人がいるであろうと思っています。

また、目の前に広がる課題にため息をつく日々であろうと考えています。

 

でも、少し落ち着くことができたときには、一つ目標を持ってください。

そしてその目標到達のための途中にステップをいくつか設けてみてください。

無理のない、小さな、段差の低いステップでかまいません。

登ることに焦る必要も急ぐ必要もありません。

途中で休んでも問題ありません。

 

でも、そのステップを上がるためにできることは続けてください。

登っていく途中で、ふと思わぬ喜びが舞い降りてきますから。

私の場合は、図鑑作りという大きな目標で、そのステップが毎日の山歩きと絵を描くことです。

長い道のりのなかで舞い降りてきた幸せが、グレアムさんとの出会いでした。

 

皆さんと同じ“ごく普通”の私でもこのようなことが起こるのですから、皆さんにも同じような喜びが間違いなく訪れます。

いつ、どのように訪れるかは、誰にもわかりません。

私のウェールズでの経験で言えば、闇雲に「がんばる」のではなく、道筋を定めて「しっかり」やることがそれを早く引きつける上で大事みたいです。

登っていく途中で、ふと思わぬ喜びが舞い降りてきます (ルイス サール 奈都世さん提供)

 

 

 


 

 

 

 

最後になりましたが、この出会いのために車を出してくださり、撮影もしてくださったCELT21のクリスチャンさん・奈都世さん夫妻に、心から御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 

(ヒヨ吉)

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ヒヨ吉さん

現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。
現在、日英で楽しめる「鳥の本」を製作するために、ウェールズのアファンの森へ出張中。

 

日本の皆様へ

 

私が山の中で重要な情報源としているラジオのニュース。

そのニュースのトップが、日本の地震や原発の状況レポートからリビア情勢に変わりました。

1週間という速さで話題の優先度が変わる世界の動きに、どうも私の頭はついていっていません。

 

そんな不安が私の顔に出るのか、いつもウェールズ・アファンの人たちは、心配そうに私に話しかけてくれます。

たいした話はしませんが、彼らが私と日本のことをずっと気にしてくれていることが、自分が「ここにいても大丈夫」と思わせてくれます。

 

日本語には「見守る」という言葉があります。

この言葉に、私は「“見ている”だけでも守れるものがある」という意味が込められていると理解していますが、それを含めた的確な英語にまだ私は出会ったことがありません。

もちろん辞書を見ればいろいろ言葉が出てきますが、“守っている”という雰囲気をどうも表しきれていない気がしています。

なので、私は前回の英国留学のときには、英語圏の人に「見守る」という感覚はないと思っていました。

 

しかし、言葉にないというだけでそういう意識が存在しないという考え方は改めるべきだと、ウェールズ・アファンの人たちの心遣いを見ていて感じるようになりました。

 

12-IMG_8632.jpgひょっとしたらウェールズの言葉に「見守る」という表現があるのかもしれません。

だから、皆さんが私をこれだけ心配してくださるのかもしれません。

今回の滞在の課題の一つは、ウェールズ語でその言葉を見つけ出すことかもしれないと思っている今日この頃です。

 

 

3月19日

ウェールズ ポートタルボット アファン森林公園ビジターセンターより

 

(ヒヨ吉)

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ヒヨ吉さん

現在、東京で仕事をする傍ら、アファンの野鳥調査に携わっていただいています。
小学生の頃から野鳥を観察していて、野鳥歴(?)は20年以上。
ニコルの手がけた専門学校の卒業生でもあります。
これまで調査や環境教育などに参画しつつ、野鳥のイラストも描かれていて、
2000年からは英国に留学し、日本では学ぶ場がない「野生生物画」を学んで2003年に帰国。
日本でもイラスト提供や個展など開かれています。
ヒヨドリが大好きなので「ヒヨ吉」。
現在、日英で楽しめる「鳥の本」を製作するために、ウェールズのアファンの森へ出張中。

 

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